Wednesday, February 28, 2007

ひとり日和

以下の本を読んだ.

ひとり日和
青山 七恵
  • 単行本: 169ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2007/2/16)
  • ISBN-10: 4309018084
  • ISBN-13: 978-4309018089
人っていやね......人は去っていくからね。
20歳の知寿が居候することになったのは、 母の知り合いである
71歳・吟子さんの家。
駅のホームが見える小さな平屋で暮らし始めた私は、キオスクで働き、
恋をし、吟子さんとホースケさんの恋にあてられ、少しずつ成長していく。
選考委員が絶賛した第136回芥川賞受賞作。

芥川賞らしい作品.
普通の日常が優れた感性で描かれている.
# このあたりは,過去の受賞作「八月の路上に捨てる」などにも
# 相通ずるものがある.
駅から見える吟子さんの家の描写が印象的.
また,上記には主人公の成長とあるが,どちらかというと,あまり
代わり映えのしない日常を印象的に描写している.
今後にも期待したい.
# 一発屋にならなければよいが.

Sunday, February 25, 2007

使命と魂のリミット

以下の本を読んだ.

使命と魂のリミット
東野 圭吾
  • 単行本: 376ページ
  • 出版社: 新潮社 (2006/12/6)
  • ISBN-13: 978-4103031710
  • ASIN: 4103031719
心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。
その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。
心の限界に挑む医学サスペンス。

研修医夕紀を中心に,彼女の父の死,復讐,使命が絡み合い,物語が
進行していく.
何か書き方が同一著者のそれとは違うような印象を受けた.
# 大どんでん返しがないからか.
しかしながら,微妙に話が交差しながら進んでいく作風で,相変わらず
テンポがよく読みやすい.
タイトルどおり,使命が存分に前面に出ている作品である.
自分の使命について,もう一度,よく考えてみようと思った.

Monday, February 19, 2007

片思い

以下の本を読んだ.

片想い
東野 圭吾
  • 文庫: 622ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2004/8/4)
  • ISBN-13: 978-4167110093
  • ASIN: 4167110091
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。
彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、
彼女をかくまう.そして...
メビウスの帯上でのさまざまな 片思い を描いた作品.
10年という歳月,それぞれの環境の変化,性同一性障害を含む
それぞれの立場,これらが複雑に絡み合い,物語は進行していく.
過去の作品「秘密」において,妻と娘で表現していた「外見と中身」を
男と女で表現しているらしい.
戸籍交換,身元不明の殺人犯のトリックなどは,気をつけて読まないと
混乱するくらい,ややこしい.
# けど,面白い.
また,アメフトのポジションになぞらえて,それぞれの立場,行動が
書かれているのは興味深い.
# アメフトに詳しければ,さらに楽しめるのだろう.
# 筆者はアメフトの熱心なファンらしい.
600ページもあるのに,飽きることなく,一気に読めてしまう.
これだけの執筆力を持つ作家は,そう多くないであろう.
# たぶん.
やはり,私好みの作家である.

Friday, February 16, 2007

ブレイクスルー・トライアル

以下の本を読んだ.

ブレイクスルー・トライアル
伊園 旬
  • 単行本: 333ページ
  • 出版社: 宝島社 (2007/1/11)
  • ISBN-13: 978-4796656733
  • ASIN: 4796656731
第5回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作.
懸賞金1億円の一大イベント<ブレイクスルー・トライアル>に参加することを決めた、
門脇と丹羽を中心とした物語.
技術の粋をつくした難攻不落の研究所において,管理人,強盗犯グループ,
スパイチームとの攻防を繰り広げる.
それぞれの視点が微妙にリンクしながら,話が展開していく.
# 井坂幸太郎にはかなわないが.
設定がチープなわりには,よく書けており,内容はなかなかにスタイリッシュ.
脇役たちも個性派ぞろいで,スピンオフ作品も作れそうである.
今後に期待しよう.

Friday, February 09, 2007

どれくらいの愛情

以下の本を読んだ.

どれくらいの愛情
白石 一文 (著)
  • 単行本: 443ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2006/11)
  • ISBN-13: 978-4163254609
  • ASIN: 4163254609
第136回(平成18年度下半期)直木賞候補作.
# 当該回の受賞作はなし.
書き下ろしの表題作を含む4編から構成されている.

4編ともに恋の物語である.
# 無言の愛,離れる愛 ,などさまざまが描かれている.
しかしながら,これらの裏に,人間の冷たい部分(本質?)が見え隠れする.
# 運命であったり,遺伝であったり.
「あなたは本当に失明した瞬間に,その失明の恐怖から開放されるのです.」
著者の悟りの境地は上記に集約されるようである.

これらをひっくるめて 愛 ということだろうか.
ちょっと,様子見...

Monday, February 05, 2007

フィッシュストーリー

以下の本を読んだ.

フィッシュストーリー
伊坂 幸太郎
  • 単行本: 258ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/1/30)
  • ISBN-13: 978-4104596027
  • ASIN: 4104596027
いわずと知れた伊坂 幸太郎の最新作.
書き下ろしを含む4編の短編からなる作品.
他の作品にも登場する 黒澤 が2編に登場.
相変わらず,軽妙なテンポで,非常に読みやすい.
また,微妙な伏線が心地よい.
# 表題にもなっているフィッシュストーリーは秀逸.
# 欲を言えば,やっぱり,長編が読みたい...

そろそろ登場人物がごちゃごちゃになってきたので,
今度,整理してみよう.