Thursday, March 27, 2008

流星の絆

以下の本を読んだ.

流星の絆

東野 圭吾
  • 単行本: 482ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/3/5)
  • ISBN-10: 4062145901
  • ISBN-13: 978-4062145909
  • 発売日: 2008/3/5
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 3.6 cm
全ての東野作品を凌ぐ現代エンタメ最高峰!
殺された両親の仇討ちを流星のもと誓った功一、泰輔、静奈の兄妹。
十四年後、泰輔が事件当日目撃した男に、功一が仕掛ける復讐計画。
誤算は、静奈の恋心だった。...とのこと.

著者の最新作品につき,迷わず読んでみた.
# 実際には,もうちょっと前に書かれたものか.
3兄妹の絆を中心とした,詐欺の話.
ハヤシライス,流星,LED,かさ,指紋,など,さまざまな伏線が緻密に
張り巡らされており,楽しめる.
一番最後の,指輪の件には,ホロっとさせられる.
# 実際には,こんなにいい人はいないかな.
# でも,恋は盲目か.だとすると,やっぱりだまされていることになる?

誤算が恋心,とのことだが,これが直接的な原因ではないような気もする.
また,最後の種明かしの,傘の柄の傷は,さすがに強引な気がする...
それにしても,相変わらず,楽しめる作品であった.
# でも, 全ての東野作品を凌ぐ現代エンタメ最高峰,は少し言いすぎか?

# 柏原は,最終的には,いい人?
# 功一は,料理人になるべき.

Tuesday, March 25, 2008

夢をかなえるゾウ

以下の本を読んだ.

夢をかなえるゾウ
水野敬也
  • 単行本: 357ページ
  • 出版社: 飛鳥新社 (2007/8/11)
  • ISBN-10: 4870318059
  • ISBN-13: 978-4870318052
  • 発売日: 2007/8/11
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.4 x 2.6 cm

「成功法則書を読んでも人が成功しないのはなぜか?」
世の中にはこんなに多くの成功法則書、ビジネス書があふれているのに、
成功者が増えたという話は聞い たことがありません。
なぜだろう? ずっと感じていた疑問でした。
そしてこの疑問に対する1つの解答を用意したのが本書です。
主人公は「人生を変えよう」として何かを始めるけど全部三日坊主 に
終わってしまうサラリーマン。
しかし、ある日突然、彼の目の前にゾウの姿をした奇妙な生き物が現れます。
「ガネーシャ」という名を持つ、インドからやっ てきたこの神様は、
主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけ。
たぶん、史上最悪のメンター(師匠)でしょう。
しかし、ガネーシャはこう 言います。
今から自分が出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する――。
成功を願う普通のサラリーマンとぐうたら神様ガネーシャ。
この二人 が「成功するためにはどうしたらいいか?」「そもそも成功とは?」
自己啓発書のメインテーマを、従来とは少し違った形(具体的に言うと、慢才です)で
深め ていきます。
拙著『ウケる技術』や企画・脚本を担当したDVD『温厚な上司の怒らせ方』でも
意識した「笑えてタメになる」という形式をさらに深めた本に仕 上がったと思います。
ぜひ読んでみてください。...とのこと.

一風変わった自己啓発書.
漫才のようなやりとりで進んでいき,ちょっとふざけた面白い内容になっている.
本の中では,かなり具体的な指示もあるが,一見すると成功とは関係ないと
思えるものばかりである.
しかしながら,その裏には,人生の真実が隠されている.
# ちょっと大げさか.
よって,その辺の「お金持ちになる本」などより,よっぽどためになる.
本当に,この本のとおりに行動できれば,間違いなく成功できるだろう.
# 表面的にはできるかもしれないが,実質的にものにする必要があるが.

自分の将来に 期待 してはいけない.
# 期待は結局裏切られる.
現実を変えるためには,知る のではなく,行動 して 経験 する必要がある.
# 当たり前のことだが,実践は難しい.
そして,人を愛す.

ところで,忘れないように,表面的な課題を記しておこう.
# 行動して経験していれば,忘れるも何もないわけだが.

・靴をみがく・コンビニでお釣りを募金する・食事を腹八分におさえる
・人が欲しがっているものを先取りする・会った人を笑わせる
・トイレ掃除をする・まっすぐ帰宅する・その日頑張れた自分をホメる
・一日何かをやめてみる・決めたことを続けるための環境を作る
・毎朝,全身鏡を見て身なりを整える・自分が一番得意なことを人に聞く
・自分の苦手なことを人に聞く・夢を楽しく想像する・運が良いと口に出して言う
・ただでもらう・明日の準備をする・身近にいる一番大事な人を喜ばせる
・誰か一人のいいところを見つけてホメる・人の長所を盗む・求人情報誌を見る
・お参りに行く・人気店に入り,人気の理由を観察する・プレゼントをして驚かせる
・最後の課題を必ず実行に移すこと

・やらずに後悔していることを今日から始める・サービスとして夢を語る
・人の成功をサポートする・応募する(手っ取り早く,不幸になる?)
・毎日,感謝する

Monday, March 17, 2008

犬身

以下の本を読んだ.

犬身
松浦 理英子
  • 単行本: 512ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2007/10/5)
  • ISBN-10: 4022503351
  • ISBN-13: 978-4022503350
  • 発売日: 2007/10/5
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 4.2 cm
あの人の犬になりたい。
そして、人間では辿り着くことのできない、心の深みに飛び込んで行きたい。
「自分は犬である」と夢想してきた房恵が、思いをよせる 女性の飼い犬となるため、
謎のバーテンダーと魂の契約を交わす。
ところが、飼い主の家族たちは決定的に崩壊していた。
オスの仔犬となった「フサ」は、彼女 を守ることができるのか?
『親指Pの修業時代』から14年。
今、新たに切り開かれる魂とセクシュアリティ。...とのこと.

本著者の作品ははじめて読んだ.
ふれこみにあるとおり,単純に,好きな人の犬となり,その人との生活について
書かれているものと思っていた.
しかしながら,実際には,まったく思惑が外れた.

犬の目線からの物語であるのは当然だが,その飼い主を取り巻く環境,および
それに対する,犬ならではの関わり方など,非常に奥深い内容であった.
契約を交わして犬になるなど,明らかに現実離れしている.
しかしながら,その不自然さを感じさせない,著者の筆力,および,犬好きさには
感心させられる.
途中のストーリーがあまりにも自然であるがため,終わり方に若干物足りなさが
感じられた.
結構,満足度が高かったので,他の作品も読んでみよう.

# 朱尾は,本当はいい人?

Tuesday, March 11, 2008

乳と卵

以下の本を読んだ.

乳と卵
川上 未映子
  • 単行本: 138ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2008/2/22)
  • ISBN-10: 4163270108
  • ISBN-13: 978-4163270104
  • 発売日: 2008/2/22
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.2 cm
娘の緑子を連れて豊胸手術のために大阪から上京してきた
姉の巻子を迎えるわたし。
その三日間に痛快に展開される身体と言葉の交錯!...とのこと.

第138回芥川賞受賞作につき,読んでみた.
受賞作とその後に書かれたもう1作が収録されている.

著者はシンガーソングライターで,これまでにCDなども発表している.
さらに,ルックスも悪くないことから,テレビなどでも数多く
取り上げられていた.
しかしながら,小説の内容に関しては,テレビなどではほとんど
取り上げられていなかったものと記憶している.
# ビジュアルがよいのが,小説家としては,いいのか,悪いのか.

実際に読んでみると,理解するのがかなり困難な,芥川賞らしい(?)
作品である.
前回受賞作「アサッテの人」に負けず劣らず,1文が長い.
# これが論文であったなら,悪文といわざるをえない.
しかしながら,帯のコメントにもあるとおり,無駄に長いわけでは
ないらしい.
風呂場やドレッシング,卵の件は,かなり印象的ではある.

今後に関しては,どれだけ読者がついていけるかによるところが
大きいだろう.
# 読者がついていきやすい文章を書けばよいかもしれないが,
# そうはなってほしくない.
# その前に,作家活動以外に音楽活動などで成功するか?
作品以外の部分で,要注目である.

ところで,この母親は本当に豊胸手術を望んでいたのだろうか.

Monday, March 03, 2008

地頭力を鍛える

以下の本を読んだ.

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功
  • 単行本: 230ページ
  • 出版社: 東洋経済新報社 (2007/12/7)
  • ISBN-10: 4492555986
  • ISBN-13: 978-4492555989
  • 発売日: 2007/12/7
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2.2 cm
# 解説文は最後尾.
フェルミ推定をもとに,地頭力の重要性を訴えている本.
フェルミ推定とは,解がはっきりしない,かなり漠然とした問題を
身近なちょっとした手掛かりを重ねに重ねて,解いていくものである.
よって,解そのものはさほど重要ではなく,それを解くプロセスに
重きを置いている.
このプロセスを身につけることにより,自分で考える力である「地頭力」を鍛え,
単なる物知りではなく,本当の意味での頭のよい人を目指す.
確かに,ネット上には,膨大な情報があふれ,近年の検索エンジンを
駆使すれば,一昔前の知識人相当の情報は,誰でも,いとも簡単に
入手することができる.
よって,これからの時代,知識の有無自体はさほど重要ではなく,地頭力が
重要になる,というのは,至極まっとうな気がする.
# 地頭力を実現するコンピュータが開発できればよいが.
なかなかうまくまとめられており,読みやすく,理解もしやすい本.
# 地頭力が高い人が書いているから当然か.
しかしながら,実際に,実行するのは結構大変である.

とりあえず,「離れて」考えてみよう.
表面的には,「結論から」「全体から」「単純に」考えてみよう.

以下,解説文.

企業、特にコンサルティング会社の採用現場などでは、
単に頭がいい人ではなく、「地頭のいい人」が求められている。
インターネット情報への過度の依存が思考停止の危機を招き、
検索ツールの発達による「コピペ(コピー&ペースト)族」が増殖しているいま、
「考える」ことの重要性がかつてないほどに高まっているからだ。
これから本当に重要になってくるのはインターネットやPCでは代替が
不可能な、膨大な情報を選別して付加価値をつけていくという、本当の
意味での創造的な「考える力」である。
本書ではこの基本的な「考える力」のベースとなる知的能力を
「地頭力(じあたまりょく)」と定義している。

では、地頭力とは何か。
地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える3つの思考力である。
すなわち「結論から」考える仮説思考力、「全体から」考えるフレームワーク思考力、
「単純に」考える抽象化思考力だ。
この3つの思考力は鍛えることができるものであり、地頭力を鍛える強力な
ツールとなるのが「フェルミ推定」である。
「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」。
こうした荒唐無稽とも思える問いへの解答を導き出す考え方のプロセスを問うのが、
「フェルミ推定」だ。
「フェルミ推定」と呼ばれるのは、「原子力の父」として知られ、
ノーベル物理学賞受賞者でもある、エンリコ・フェルミ(1901~1954)に由来する。

本書では、「日本全国に電柱は何本あるか?」といった例題やその解答例から
「フェルミ推定」のプロセスを紹介しつつ、「好奇心」「論理的思考力」「直感力」という
地頭力のベースとそれらのベースの上に重なる仮説思考力、フレームワーク思考力、
抽象化思考力の3つの構成要素とその鍛え方を解説している。

本書は、季刊『Think!』2007年春号に掲載されて大きな反響を呼んだ
「フェルミ推定で鍛える地頭力」をもとに全面的に書き下ろしたものである。
本書が対象とするのは、「問題解決」を必要とする業務に携わるビジネスパーソンは
もちろんのこと、「考える力」を向上させたいと考える学生なども含めた
すべての職業の人である。
フェルミ推定による地頭力トレーニングの世界を経験し、「地頭力」という武器を
持ってインターネットの情報の大海をうまく乗り越え、読者なりの「新大陸」を
発見してほしいというのが、著者から読者の皆さんへのメッセージだ。