Sunday, August 30, 2009

あるキング

以下の本を読んだ.

あるキング
伊坂 幸太郎 (著)
  • 単行本: 221ページ
  • 出版社: 徳間書店 (2009/8/26)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4198627797
  • ISBN-13: 978-4198627799
  • 発売日: 2009/8/26
  • 商品の寸法: 20 x 13.6 x 1.8 cm
天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何を
もたらすのか?
野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。
山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親の
もとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、
とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。
王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期の
それぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって
語られる。
わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。
『本とも』好評連載に大幅加筆を加えた、今最も
注目される作家の最新作!!
ベストセラー作家・伊坂幸太郎さんの最新刊は、
いままでの伊坂作品とはひと味もふた味も違う!
『ゴールデンスランバー』や『週末のフール』のような
テイストとは違いますが、ひとりの天才が生みだされていく過程、
主人公を取り巻く周囲の人々の困惑と畏れ――
読み進めていくうちにどんどん引き込まれていきます。
「他の人にこういう小説を書かれたら悔しい」
「こういう作品を読みたかった」と伊坂さんご自身が
おっしゃるくらい、思いをこめた作品です。
新しい伊坂ワールドをお楽しみください!(by編集担当)
...とのこと.

言わずと知れた伊坂幸太郎の最新作につき,読んでみた.
主人公は野球の天才である.
そのようにして生まれ,そのような訓練をしてきた.
その成長が,周りの者(亡霊?)からの視点で描かれている.

上述されているとおり,これまでとは,だいぶ路線が異なる.
内容としては,一本調子ではあるが,3人の魔女,南雲の亡霊,
そして,緑色の化け物がアクセントをつける.
# 当然ではあるが,さすがプロ.
# そうか,渡部 健,エスケープ! にもこういうのがあれば
# よかったのか.

登場人物もなかなか個性的であった.
# キュリー夫人の文章を書く友人,不良の先輩,など
# 他の作品にも登場できるか?
とりあえず,楽しめる内容であった.
# ...が,本音としては,昔のような伏線満載の作品が読みたいかな.

Friday, August 28, 2009

エスケープ!

以下の本を読んだ.

エスケープ!
渡部 健 (著)
  • 単行本: 225ページ
  • 出版社: 幻冬舎 (2009/07)
  • ISBN-10: 4344017080
  • ISBN-13: 978-4344017085
  • 発売日: 2009/07
  • 商品の寸法: 19.2 x 12.6 x 2.2 cm
シュウは会社の内定も決まり、かわいい彼女もいる大学四年生。
春からは忙しく働き、数年後には彼女と結婚して子どもをもうける予定―。
「でもなあ、そんな人生って…正直、楽しそうじゃないな」将来は
約束されている。
でも、その将来には何も刺激がない。ぜいたくな不満だと頭では
理解している。けれど…。
そんなある日、シュウは人生を変えるかも知れない雑誌記事を
見つけてしまった。
「プロが語る!空き巣手口のすべて!」その日からシュウの日常は一変。
かつてない情熱で入念に計画を立て、人生で初の興奮を覚えながらの
綿密な下見。
すべては完璧で、安全だと思われた空き巣計画。
が、しかし…忍び込んだ家の中にはなんと―。
...とのこと.

コント職人,アンジャッシュの渡部 健による処女作につき,
読んでみた.
内容は,まさに,アンジャッシュのコントそのものであった.
勘違いが奇跡的にかみ合い展開していく話には,局所的に
笑えるところが多数あった.
特に,アンジャッシュ好きには,間違えなく,笑えるだろう.
内容も面白く,ふだん本を読まない人にも,テンポよく
読むことができるだろう.
この読みやすい原因は,良くも悪くも,表現のチープさ(陳腐さ)による
ものと考えられる.
各登場人物の設定が不完全,伏線も中途半端,文章自体の表現も稚拙,
など,言い始めるときりがない.
# 週刊誌の件や,最後のコラボスニーカーの件などは,もっと
# 充実させられるような気がする.
しかしながら,非常に才能を感じさせる内容であった.
# 劇団ひとりには及ばないが.
上記の問題点は,経験を積むことにより,十分解消可能であると
考えられるので,この後の活動に期待したい.
たぶん,ふだんのネタのように,小説の題材は持っていると
思うので,ぜひ,今後も2本,3本と作品を書き続けてもらいたい.

Thursday, August 27, 2009

鷺と雪

以下の本を読んだ.

鷺と雪
北村 薫 (著)
  • 単行本: 261ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/04)
  • ISBN-10: 4163280804
  • ISBN-13: 978-4163280806
  • 発売日: 2009/04
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 2.2 cm
帝都に忍び寄る不穏な足音。ルンペン、ブッポウソウ、
ドッペルゲンガー…。
良家の令嬢・英子の目に、時代はどう映るのか。昭和十一年二月、
雪の朝、運命の響きが耳を撃つ―。
...とのこと.

直木賞受賞作につき,読んでみた.
昭和初期,良家のお嬢様とその(優秀な)付き添い運転手が
さまざまな(事件とは呼べない)謎を解決していく物語.
それぞれの謎が3部,収録されている.
歴史的背景の知識が必要であり,物語に入り込むのに少し
時間がかかった.
しかしながら,前提が分かれば,物語として面白かった.
# 歴史的な知識があれば,さらに楽しめるのだろう.
# なるほど,最後は,226事件につながるわけか.
いつの時代も権力者が幅を利かせているわけだが,この時代の
爵位は,それを顕著に表したものだろう.
# 公・侯・伯・子・男
# 多くの場合,それが現在にも続いているわけだが.
英子とベッキーには,今後も活躍してもらいたい.

Tuesday, August 25, 2009

終の住処

以下の本を読んだ.

終の住処
磯崎 憲一郎 (著)
  • 単行本: 142ページ
  • 出版社: 新潮社 (2009/7/24)
  • ISBN-10: 410317711X
  • ISBN-13: 978-4103177111
  • 発売日: 2009/7/24
  • 商品の寸法: 19 x 12.6 x 2 cm
妻はそれきり11年、口を利かなかった――。
30を過ぎて結婚した男女の遠く隔たったままの歳月。
ガルシア=マルケスを思わせる感覚で、日常の細部に宿る不可思議を
あくまでリアルに描きだす。
過ぎ去った時間の侵しがたい磐石さ。その恵み。
人生とは、流れてゆく時間そのものなのだ――。
小説にしかできない方法でこの世界をあるがままに肯定する、
日本発の世界文学! 第141回芥川賞受賞作。
...とのこと.

第141回芥川賞受賞作につき,読んでみた.
芥川賞らしく,非常に分かりにくい(?)内容になっている.
一応,テーマは愛らしい.
タイトルにあるとおり,最終的には,夫婦の愛に帰着する.
これに至るまで,11年間,妻は口を利かなかった.
# なんとも恐ろしい.
その間の,男の心理描写が,浮気を中心に描かれている.
男の妄想と現実が区別されることなく,書かれており,これが
人間の思考をそのまま表現しており,小説にしかできない方法と
言われる由縁なのだろう.
# 確かに,映像化しても陳腐だろう.
それにしても,分かりにくい内容だった.
# 論理が破綻しており,これが論文だったら,誰も読んでくれないだろう.
実際,最初の頃は,読み飛ばした部分があるのかと思い,
前のページを読み返したくらいだった.
それでも,芥川賞と言われると,立派な作品に見えてくるのが
不思議なところである.

もう1編,書き下ろしの「ペナント」も収録されていた.
こちらも小説でしか表現できない,映像化は無理な作品であった.

Monday, August 24, 2009

貧乏はお金持ち

以下の本を読んだ.

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
橘 玲 (著)
  • 単行本: 311ページ
  • 出版社: 講談社 (2009/6/4)
  • ISBN-10: 4062153580
  • ISBN-13: 978-4062153584
  • 発売日: 2009/6/4
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 3.2 cm
会社に左右されず独立した人生を歩むには?
サラリーマンは国からも企業からも搾取され、使い捨てられる
運命しかない。
経済的独立を果たすために「一人法人」化し、全てのメリットを
享受せよと説く画期的書
「正社員になることが幸福だ」という昨今の風潮に違和感が
あって、もうひとつの (オルタナティブな)生き方を実践的な
知識とともに提案してみたい、というのが本 書を書いたきっかけです。
ファイナンス(会計や税務・資金調達)は企業のためだけ の
ものではなく、個人の人生設計にも役に立ちます。
グローバル化という現実をイデ オロギーで否定しても
なんの意味もありません。
いま必要とされているのは、一人ひ とりがサバイバルするための
知識と技術ではないでしょうか。
...とのこと.

タイトルに惹かれて読んでみた.
現代の不景気を,貧乏ながらも,物質的な豊かさではなく,
心の豊かさにより,生きていくことを説く本...かと思ったが,
まったく違う内容だった.
本当に,個人としては貧乏ながらも,全体として裕福になる
ための手段が書かれている.
その手段が,法人化である.
要は,個人を法人化し,サラリーマンは,現在の仕事を
委託業務に変更する.
あとは,個人の収入を貧乏,すなわち 0 になるように設定し,
さらに法人としての必要経費や税金などで,実質の収入を
増やす,ということらしい.

たしかにそのとおりではあるが,ふつうの個人がいきなり
マイクロ法人を立ち上げ,会社と委託契約を結べるとは
考えにくい.
# よって,現実味も薄い.
しかしながら,現在の日本社会における,特に,社会保険や
年金制度等でのサラリーマンの重要性(不利さ)や,
法人(会社)の位置づけ(有利さ)などは改めて分かった.
# サラリーマンが,きちんと保険料を払わなくなったら,本当に
# 制度そのものが破綻だな.
また,年功序列におけるピラミッド構造の崩れなど,今後の
日本経済の限界も感じられ,いろいろと考えさせられた.
# よって,本質的に,不景気を脱するのは,難しいな...

Sunday, August 09, 2009

脳研究の最前線(下巻)

以下の本を読んだ.

脳研究の最前線(下巻) (ブル-バックス)
理化学研究所脳科学総合研究センター (編集)
  • 単行本: 384ページ
  • 出版社: 講談社 (2007/10/19)
  • ISBN-10: 406257571X
  • ISBN-13: 978-4062575713
  • 発売日: 2007/10/19
  • 商品の寸法: 17.2 x 11.4 x 2.4 cm
上巻同様,研究の兼ね合いもあり,読んでみた.
アルツハイマー.応用として人工デバイスとつながる脳,
精神疾患,ロボット,快楽,理論,の話が満載.
特に,後半部分,理論の章では,人工知能の話が出てきて
やっと身近に感じられた.
それ以外も,比較的,平易な言葉で書かれており,分かりやすい.
...はずだが,あまり,頭に入っていない.
こちらも,必要に応じて,読み返そう...