Sunday, April 26, 2009

ロボットのおへそ

以下の本を読んだ.

ロボットのおへそ (丸善ライブラリー)
稲邑 哲也,他
  • 新書: 190ページ
  • 出版社: 丸善 (2009/1/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4621053779
  • ISBN-13: 978-4621053775
  • 発売日: 2009/1/24
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.6 cm
作家・研究者としてロボットを追う瀬名秀明氏を聞き手に迎え、
瀬名氏が「ロボティクス界のホープ」と呼ぶ稲邑哲也准教授
(国立情 報学研究所)の研究紹介を通じて、今ロボット研究が
どこへ向かっているのかを解き明かします。
稲邑氏が目指すロボットのキーワードは「おへそ」。
おへそのついたロボットは、将来どこまで人間 と“ツーカーの仲”に
なれるのか──脳科学から進化論まで、知の 領域を横断しながら、
楽しく読めるロボットの最先端!
ロボットはどこまで人間になれるのか―おへそのついたロボットなら、
「ちょっとのどが渇いたから、いつものあれを取ってきて」
そんなリクエストにも臨機応変に応えてくれる。
ひととロボットの新しい関係を考える全6章。
...とのこと.

内容が気になったので,読んでみた.
ロボット工学自体というよりは,知能,ここでいう「おへそ」に
興味があり読んでみた.
初心者にも読みやすい内容になっている.
# 専門家には,ちょっと物足りないかな.
すべての状況を全部プログラムに盛り込むのは不可能であり,
自分で学習する必要がある.
社会的知能は,最初からできあがっているものではなく,人間同様,
徐々に学んでいく.
このように,現在の(広い意味での)ロボットに欠けているものを
本書では「おへそ」と定義している.
ネーミングセンスもよく,また,非常に考えが近いこともあり,
共感できる内容だった.
# 学生にも興味を持ってもらえる内容かな.

Friday, April 24, 2009

欲情の作法

以下の本を読んだ.

欲情の作法
渡辺 淳
  • 単行本: 219ページ
  • 出版社: 幻冬舎 (2009/2/18)
  • ISBN-10: 434401622X
  • ISBN-13: 978-4344016224
  • 発売日: 2009/2/18
  • 商品の寸法: 17.8 x 11.6 x 2.4 cm
ベストセラーとなった『失楽園』『愛の流刑地』に代表される
恋愛小説の圧倒的なリアリティはどこから生まれるのか?
文壇屈指のダンディとして、渡辺氏が幅広い世代の女性たちから
人気を得つづけている理由とは何か?
――本書で初めて明かされる著者ならではの「相手をその気にさせる黄金の法則」。
既存の恋愛本にはない、著者ならではの医学的見地、文化的見地を
基にした考察がベースとなっています。
「男と女のラディカル(根源的)な違い」がわかれば、人が人を好きになる
メカニズムが手に取るように理解できます。
そこから導き出された数々のオリジナルな恋愛作法、画期的な
コミュニケーション術は、「相手をその気にさせる」という視点から言えば、
究極の営業テクニックと言えるかもしれません。
執筆に際しては、実際に30代の独身男女を著者自ら取材。
その情報に加えて、本邦初公開の自身の成功・失敗の体験談が
随所で紹介されています。
...とのこと.

ちょっと話題になっていたので読んでみた.
あの著者による大人の恋愛講座(?).
医学的,文化的な見地から,著者ならではの切り口で,作法が
記述されている.
しかしながら,なかなか,入り込みにくい内容.
# 普通の著者であれば,見向きもされない内容だろう.
実際の行動に移すかどうかは,さておき,男と女の違いを
知る上では,ちょっとおもしろい内容であった.
# でも,やっぱり,本にしてまで公表することでもないような気がする.
おすすめ度は低い...

Thursday, April 23, 2009

就活のバカヤロー

以下の本を読んだ.

就活のバカヤロー (光文社新書)
大沢仁 (著), 石渡嶺司 (著)
  • 新書: 280ページ
  • 出版社: 光文社 (2008/11/14)
  • ISBN-10: 4334034810
  • ISBN-13: 978-4334034818
  • 発売日: 2008/11/14
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 2 cm
就職活動(通称「就活」)をテーマに、企業の人事や大学の教職員、
就活中の大学生らに徹底取材したあと、腹の底から出てきたのがこのひと言だ。
「私は納豆のようにねばり強い人間です」と、決まり文句を連呼する“納豆学生”、
「企業は教育の邪魔をするな」と叫ぶわりに、就職実績をやたらと気にする
“崖っぷち大学”、営業のことを「コンサルティング営業」と言い換えてまで
人材を獲得しようとする“ブラック企業”―「企業と社会の未来をつくる行為」
「学生個々人が未来に向けて大きな一歩を踏み出す行為」であったはずの
就職活動は、いまや騙し合い、憎しみ合いの様相を呈し、嫌悪感と倦怠感が
渦巻く茶番劇に成り下がった。
さて、いったい誰が悪いのか。
...とのこと.

未曾有の不景気の昨今,就職状況が気になり,読んでみた.
学生,大学,企業,さらには,就職情報会社の,それぞれの立場から見た
就職活動(の裏側)を記した本.
特に,学生,企業の側からの情報は,就活生にとっても役立つ情報であると
思われる.
慶応大学の研究会における,外部との接点を持つ,「無意識下の就活」と
いうのは非常に興味深かった.
やはり,スマートに会話ができる学生がもてはやされるようだ.
# うちの大学も,いろいろとコミュニケーション能力は高いことに
# なっているはずなのだが.
学生にも勧めてみようと思える内容であった.

Wednesday, April 08, 2009

「分かりやすい教え方」の技術

以下の本を読んだ.

「分かりやすい教え方」の技術(ブルーバックス)
藤沢 晃治
  • 新書: 189ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/12/19)
  • ISBN-10: 4062576236
  • ISBN-13: 978-4062576239
  • 発売日: 2008/12/19
  • 商品の寸法: 17.2 x 11.4 x 1.4 cm
あの教え方はなぜ「分かりにくい」のか?
そもそも「教える」とはどういうことか?
そこから考えて分かった「教える」の5つの「心構え」と8つの「技術」。
思いがけず先生役を任されて困っているあなたも、これで明日から
「教え上手」に。 ...とのこと.

当然ながら,普段から教える機会が多いこともあり
定評があるようなので,読んでみた.
# ...割には,たいしたことがなかったような気もする.
教えるとはどういうことかに始まり,具体的な心構えと技術が
述べられている.
スタディは分からせるだけなのに対して,ラーンは身につけさせる,
という違いがある.
すなわち,教えるとは,説明するだけでは不十分であり,知識や
技能を定着させる必要がある,ということである.
そのためには,双方向のコミュニケーションであったり,生徒の
文化を受け入れたりしなければいけないらしい.
# 授業中に平気でケータイを開くなどするのは,はたして文化か?
注意点をまとめると,
はじめに目標を提示し,最後にまとめる.
生徒のレベルにあわせる,集団の最大公約数の反応を見る.
質問して考えさせ,思考回路のスイッチを入れる.
メリハリをつけて,腹八分目を守る.
といったところか.
それなりに,参考にしよう.

Tuesday, April 07, 2009

利休にたずねよ

以下の本を読んだ.

利休にたずねよ
山本 兼一
  • 単行本: 418ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2008/10/25)
  • ISBN-10: 4569702767
  • ISBN-13: 978-4569702766
  • 発売日: 2008/10/25
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 3.2 cm
飛び抜けた美的センスを持ち、刀の抜き身のごとき鋭さを
感じさせる若者が恋に落ちた。
堺の魚屋の息子・千与四郎――。後に茶の湯を大成した男・
千利休である。
女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ利休は、
おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、気に入られ、
天下一の茶頭に昇り詰めていく。
利休は一茶人にとどまらず、秀吉の参謀としてその力を如何なく発揮。
秀吉の天下取りを強力に後押しした。
しかし、その鋭さゆえに、やがて対立。
秀吉に嫌われ、切腹を命ぜられる。

本書は、利休好みの水指を見て、そのふくよかさに驚き、
侘び茶人という一般的解釈に疑問を感じた著者が、利休の
研ぎ澄まされた感性、色艶のある世界を生み出した背景に
何があったのかに迫った長編歴史小説である。

著者の山本兼一氏は、直木賞候補になること2回。
いま最も勢いのある時代小説作家。気骨ある男を描いて定評がある
山本氏の新境地。
ぜひご一読いただきたい。
...とのこと.

直木賞受賞作につき,読んでみた.
千利休を,違った角度から非常に深く読み解いた作品.
# 並大抵の調査量ではないものと思われる.
# このあたりは,松井今朝子,吉原手引草に通ずるところがある.
# しかしながら,こちらの方が,考察が深いか.

章ごとに,本人をはじめ,武将や茶人,妻,愛人などが登場する.
また,章が進むごとに,時間がさかのぼるスタイルである.
# この形式は,桜庭 一樹,私の男に通ずる.
# はやりものか.
よって,最初の方での疑問点が徐々に明らかになっていく.
とくに,緑釉の香合がキーとなる.
# 最初はなんだかよく分からなかったが,ただの名器ではなく,
# 最終的には,とても奥深い秘密が判明.
# 後は木槿の件なども秀逸.
一般的な茶の達人という見方にとどまらず,美の探求者としての
利休が見事に表現されている.
# 別に利休に詳しいわけではないが.
本当かどうかは不明だが,少なくとも著者の見解としての
侘び茶のルーツが書かれていて面白い.
なかなか難しい内容ではあったが,楽しめる作品であった.
# きちんと読めば,もっと楽しめるかな.