Wednesday, July 30, 2008

イニシエーション・ラブ

以下の本を読んだ.

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1) [文庫]
乾 くるみ (著)
  • 出版社: 文藝春秋 (2007/04)
  • ISBN-10: 4167732017
  • ISBN-13: 978-4167732011
  • 発売日: 2007/04
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
僕がマユに出会ったのは代打で出た合コンの席。
やがて僕らは恋に落ちて……。
「必ず2回読みたくなる」と評された驚愕のミステリー
...とのこと.

確かに,「最後から二行目で、本書は全く違った物語に変貌する」
物語である.
前半部分は,ありきたりの恋に関する物語になっている.
若かりし頃の甘い思い出を彷彿とさせる.
そこから大学を卒業して,就職をして,そのまま,後半部分に
突入する.
転勤が決まり,遠距離恋愛になり,転勤先で別の女性が登場し,
最終的には,別の女性と結ばれる.
これまた,普通の展開である.
# なお,時代背景が,80年代からのバブル期となっており,このあたりの
# 描写もなかなか面白い.

しかしながら,最後から2行目で物語は豹変する.
# 一応,それは隠しておこう.
確かに,後半部分から,就職の影響からか,主人公のキャラ設定が
若干変わったような気はしていた.
また,ところどころのエピソードも,どうもちぐはぐな感じがしていた.
ミステリー作家らしい,この作者にして,こんな単純なミスを
するものだろうか,と訝しがりながら読み進めると,最後から2行目で
すべてのなぞが解ける.
# まさに,鳥肌モノ.
前半,後半を side-A,side-B としているのもうなづける.
必ず,2回読みたくなる,とのことだが,何度か読み返してみて,
時間関係を洗いなおしてみると,非常に怖いストーリーが浮かび上がる.

なかなか秀逸な作品である.

No comments: