以下の本を読んだ.
ほかならぬ人へ白石一文
- 単行本: 304ページ
- 出版社: 祥伝社 (2009/10/27)
- 言語 日本語
- ISBN-10: 4396633289
- ISBN-13: 978-4396633288
- 発売日: 2009/10/27
- 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.6 cm
愛するべき真の相手は、どこにいるのだろう?
「恋愛の本質」を克明に描きさらなる高みへ昇華した文芸作品。
第二十二回山本周五郎賞受賞第一作! 祥伝社創立40周年記念出版。
# さらに,詳細は後ろに記す.
...とのこと.
直木賞受賞作につき,読んでみた.
偶然にも,最近やっと読み終わった「私という運命について」の
著者による作品.
直木賞受賞作の表題作の他に,「かけがえのない人へ」が収録されている.
一言で言うならば,非常に 静か な作品.
# 文章が上品?
表題作は,エリート家庭に育った落ちこぼれ主人公が,一度は,
キャバクラ出身の美人と結婚するものの,早死にする年上の
決して美人とは言えない女性と結婚する話.
# 静かな,と書いた割には,中身はドロドロしているな.
この作品だけをもって,直木賞とは言い難いような気がする.
# もう一作と同様に,これまでの作品も含めての受賞か.
恋愛の本質に迫っているらしい.
もう一つ収録されている「かけがえのない人へ」も,不倫の話である.
最終的には,不倫相手が姿を消す,ということで,陳腐な結末である.
それでも,恋愛の本質を追究しているのだろう.
次回作の期待は薄い,かな.
以下,amazon からの引用.
「ほかならぬ人へ」
二十七歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、人も羨むエリート家系出身である。しかし、彼は胸のうちで、いつもこうつぶやいていた。「俺はきっと生まれそこなったんだ」。
サッカー好きの明生は周囲の反対を押し切ってスポーツ用品メーカーに就職し、また二年前に接待のため出かけた池袋のキャバクラで美人のなずなと出会い、これまた周囲の反対を押し切って彼女と結婚した。
しかし、なずなは突然明生に対して、「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明ける。真一というのは夫婦でパン屋を経営している二枚目の男だ。「少しだけ時間が欲しい。その間は私のことを忘れて欲しいの」となずなはいう。
その後、今度は真一の妻から明生に連絡が入る。彼女が言うには、妻のなずなと真一の関係は結婚後もずっと続いていたのだ、と。真一との間をなずなに対して問いただしたところ、なずなは逆上して遂に家出をしてしまう。
失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、職場の先輩である三十三歳の東海倫子に惹かれていく。彼女は容姿こそお世辞にも美人とはいえないものの、営業テクニックから人間性に至るまで、とにかく信頼できる人物だった。
やがて、なずなの身に衝撃的な出来事が起こり、明生は…。
「かけがえのない人へ」
グローバル電気に務めるみはるは、父を電線・ケーブル会社の社長に持ち、同じ会社に勤める東大出の同僚・水鳥聖司と婚約を控えて一見順風満帆に見えるが、一方でかつての上司・黒木ともその縁を切れずにいる。黒木はいつも夜中に突然電話を寄越し、みはるの部屋で食事を要求した後、彼女の身体を弄ぶのだ。みはるはみはるで、聖司という婚約者がいながら、何故か野卑とも言える黒木に執着している。黒木が言うには、五歳から大学に入るまでの十三年間、都内の養護施設を渡り歩いていたというが、黒木を見ていると、苦労が必ずしも人を成長させるとは限らない、とみはるは思う。
一方で、社内では業績不振も相俟って、他社との合併話が進行していたが、それを巡る社内の政争のあおりを受けて、黒木の後ろ盾である藪本常務の立場が危うくなっていた…。