Sunday, October 17, 2010

ハル

以下の本を読んだ.

ハル (文春文庫)
瀬名 秀明
  • 文庫: 440ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2005/10/7)
  • ISBN-10: 4167679582
  • ISBN-13: 978-4167679583
  • 発売日: 2005/10/7
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
魂を感じさせる妻そっくりのヒューマノイド、幼い日の記憶のなかで語る
科学館のロボ次郎、地雷撤去のため、探知犬と共にタイ東部国境をゆく
デミル2、玩具として売られたロビタ―機械と人間をむすぶ切なく感動的な
ドラマが、現代科学の周到な知識のもと熱を孕んだ筆で描かれる。
間近に迫る「あした」の物語。...とのこと.

来年度の人工知能学会全国大会の件(?)もあり,読んでみた.
自分の研究分野とも非常に近く,興味のあるテーマを題材とした本.

著者が理系(薬学部)出身であり,ロボットに関する造詣の深さには
目を見張るものがある.
# 私の見解とも一致する部分が多々ある.
それでも,ロボット(工学)が専門なわけではなく,それ以外の分野に
関しても,随時,調査し,それぞれ執筆していることには脱帽した.
# そのため,現在の作家にしては,執筆ペースが遅いらしい.
# 仕方がないな.

ロボットを中心とした近未来の世界が舞台.
5本の短編(中編)と,さらにその先が舞台となっている連続的な1編からなる.
それぞれには,若干の伏線があり,最終的には,短編と連続的な1編が重なる.

それぞれの作品で述べられているとおり,ロボットが優秀なインターフェースとして
台頭するのは,確かに現実的ではある.
しかしながら,魂,心を持って,自律的に行動するのはいつの日になることか.
「アトムの子」で述べられている,鉄腕アトムの誕生により魔法が解けた,とは
何とも感慨深い見解だ.

同著者の他の作品も読んでみよう.

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