Wednesday, October 24, 2007

高学歴ワーキングプア

以下の本を読んだ.

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) [新書]
著者: 水月 昭道 (著)
  • 新書: 217ページ
  • 出版社: 光文社 (2007/10/16)
  • ISBN-10: 4334034233
  • ISBN-13: 978-4334034238
  • 発売日: 2007/10/16
  • 商品の寸法: 17 x 10.8 x 1.4 cm
大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って
練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす
"既得権維持"のための秘策だったのである。
折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。
就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあげることなど
たやすいことであった。
若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、
これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、
大学市場を支配する者たちだった。(本文より)
...とのこと.

大学院の内部状態に関して,よく書かれている本.
漠然と大学院の表面しか知らない人には,衝撃の内容であると思う.
大学の内部にいても,こういうこともあったかと思い知らされる
内容である.
# しかし,大学院重点化とはよくできたシステムである,と
# 改めて感心し,あきれてしまう.
著者が文系の出身のようで,若干,理系の博士とは状況が違う.
しかしながら,あまりにも的を射ていて,これが一般の多くの人の
目に触れていると思うと,...,先行き不安である.

結論的には,博士の学位をとっても,あまりうまみがない世の中で
ある,とのこと.
# 一応,就職以外でのうまみについても若干触れられてはいるが.
# ニートがあふれかえっている世の中で,就職以外のうまみに
# 飛びつく若者はいないだろう.

# すでに大学に就職している身としては,就職できたこと自体が
# 奇跡的であり,よかったとしか言いようがない.
# やっぱり,努力次第でどうにかなるのではないだろうか?
# いや,やっぱり,過信しすぎか?

それでも,学生には進学してもらいたい,と思うのはなぜだろう.
この謎が解ければ,日本の高等教育発展の一助になるのだろう.
# とりあえず,修士の学生は増やしたいものだ.

大学間格差を感じる,今日この頃である.
# 弱い大学は喰われていく運命にある.
# うちの大学は大丈夫だろうか?

Monday, October 22, 2007

あなたはコンピュータを理解していますか?

以下の本を読んだ.

あなたはコンピュータを理解していますか? 10年後、20年後まで必ず役立つ根っこの部分がきっちりわかる! [新書]
著者: 梅津 信幸 (著)
  • 新書: 248ページ
  • 出版社: ソフトバンク クリエイティブ (2007/3/16)
  • ISBN-10: 4797339497
  • ISBN-13: 978-4797339499
  • 発売日: 2007/3/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 11.4 x 2.4 cm
「エントロピー」「チャネル」「有限オートマトン」
「メモリ階層と参照の局所性」「インタフェース」など、
情報科学の基礎的な概念を、インスタント味噌汁や
油田のパイプライン、ダンボールで作った自動販売機もどきや
蓄音機、人生ゲームをする神様、カースト制度のピラミッドや
動き回るお坊ちゃまなど、高度な概念を実にふざけた文体と、
とんでもないたとえ話で絶妙に説明します。

一見すると、なんの関係性もなさそうなこれらの目次と、
コンピュータとの間に共通する本質を描き出すことで、
コンピュータと人間との距離をはっきりさせること、
これが本書のゴールとなっています。

これはコンピュータの入門書であると同時に、
それ以上に、
「科学的に考えを進めていくこと」の大切さ
について書かれた読み物として楽しめます。
...とのこと.

結構難しいことを,簡単に説明している本.
例え話がふんだんに登場し,内容の理解に大いに
役立っている.
# でも,エントロピーの塩のたとえは,ちょっと,
# 腑に落ちないかも...
また,自分が常々考えていることと,著者の考えが一致する
ところが多く,非常に共感できる.

機械においては,自然界とは異なる合理的な方法により,
同じことを実現している.
# 飛行機,自動車,etc.
難しいことを難しく説明するのは簡単だが,難しいことを
簡単に説明するのは難しい.
理解するとは,ある物事をさまざまな角度,レベルで
捕らえることである.
# 例え話に集約してみたり,格言などのように一般化してみたり.
これができないのは,理解が足りない証拠である.

内容とともに教訓として,今後の講義にも活かそう.

Sunday, October 21, 2007

最高学府はバカだらけ

以下の本を読んだ.

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)
著者: 石渡 嶺司 (著)
  • 新書: 254ページ
  • 出版社: 光文社 (2007/09)
  • ISBN-10: 4334034195
  • ISBN-13: 978-4334034191
  • 発売日: 2007/09
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
大学全入時代をほぼ迎えたいま、私大では定員割れが続出し、
潰れる大学も出てきている。
こうした、世間からそっぽを向かれた「崖っぷち大学」は生き残りに
必至だが、それは、東大や早慶上智、関関同立といった難関大と
いえども他人事ではない。
どの大学も受験生集めのためにあらゆる手を尽くしている。
ところ が、その内容は----AO入試で辞退さえしなければ誰でも合格、
就職率や大学基本情報の非公表・偽装、イメージをよくするために
大学名を改名(秋田経済 法科大からノースアジア大へ)、新しいことを
学べる新学部を設立(シティライフ学部や21世紀アジア学部を新設)などなど、
世間の常識と大いにズレてい て、どこかアホっぽいのだ。
本書では、こうした大学業界の最新「裏」事情と各大学の生き残り戦略を、
具体例をふんだんに交えながら紹介していく。
...とのこと.

大学教育に携わる者としては,目に余るところもあるが,内容的には,
当たらずとも遠からず,といったところである.
学生の質の低下であるとか,大学の妙な改革,中途半端な情報開示に
関しては周知のとおりであるが,最終章の「科学反応」の内容が気になった.
しかしながら,やはりきちんとした解決策は示されていなかった.
大学内外,学年を問わない交流から,化学反応が生まれることも
あるようである.
そういった意味では,うちの大学は,化学反応が期待できるかもしれない.
面倒見のよい教員として,がんばるしかない...かな.

Tuesday, October 16, 2007

風邪

# 最近,あまり書いていないので,とりあえず,
# 何か書いておこう...

最近,風邪をひかない.
# 兄は体調を崩したらしいが.
タバコを吸わなくなって丸2年を超えたところだが,
とりあえず,この間,風邪をひいた記憶がない.
これだけが原因とは言わないが,やはり,
喫煙と病気には,高い相関があるのだろうか.
しかしながら,自分がタバコを吸っている限りは,
なぜか,このような相関関係を容易に認めることができない
ものである.
それどころか,タバコを吸うことにより,風邪の前兆を
いち早く察知できるのでよい,とまで思っていた.
不思議なものだ.

なお,最近,大学の建物内が完全禁煙になっており,
来年度からは敷地内までも完全禁煙になるらしい.
まったくもって,いいタイミングで止めたものだ,と
つくづく感じる今日この頃である.