Monday, August 25, 2008

その日本語が毒になる!

以下の本を読んだ.

その日本語が毒になる! (PHP新書 521) [新書]
吉村 達也 (著)
  • 新書: 198ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2008/5/16)
  • ISBN-10: 4569695418
  • ISBN-13: 978-4569695419
  • 発売日: 2008/5/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
本格的なネット時代を迎え、ますます過激化する一方の「言葉の暴力とウソ」。
食品だけでなく、何気ない日常会話にも、偽装と毒はひそんでいる。
「何様のつもりだ」「おまえが言うな」「いかがなものか」「ここだけの話」
「だから日本人は」「生理的にキライ」「不正はなかったと信じたい」──。
言っても言われても、心が傷つく不用意な言葉の数々。
これらの<ひと言>は、自分が優位に立ったつもりでも、逆に、
使った当人の人間性をおとしめるから要注意。
皮肉や遠回しな物言いを得意とする人ほど、周囲から見下されてしまうのだ。
ミステリー作家の著者が日本語特有の落とし穴を鋭く指摘し、人格急変の
トリックも浮き彫りにしながら痛快に綴っている。
最終章では、殺伐とした世の中で、心の平和を保ちながら生きてゆける
前向きな発想法(「心のクスリになる七つの常備薬」)を紹介。
人は言葉で病気になり、言葉で健康になるのだ。
「目からウロコの精神衛生本」である。...とのこと.

タイトルに惹かれて読んでみた.
もっと日本語表現の誤りとかに関する本かと思ったが,そうではなく,
おもにネットでの日本語表現に関する内容.
ネット上での言葉の暴力は,その匿名性によるものではなく,
日本語そのものの問題であるとのこと.
また,日本語は,本質的にコミュニケーションの道具として不備がある,と
いう点に関しては,非常に共感できた.
これを補うために,現代の日本語は,若者言葉に代表されるような
おかしな日本語に進化している.
人間は基本的に許容範囲が狭い.
よって,コミュニケーションをはかるには,きちんと内容を伝える必要がある.
気をつけよう.

Thursday, August 21, 2008

雨の日も、晴れ男

以下の本を読んだ.

雨の日も、晴れ男 (文春文庫 み 35-1)
水野 敬也 (著)
  • 文庫: 224ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2008/6/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4167717972
  • ISBN-13: 978-4167717971
  • 発売日: 2008/6/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
# amazon の内容紹介は長いので,後ろに記載.
「夢をかなえるゾウ」が面白かったので,読んでみた.
同著者による,似たような自己啓発本.
自己啓発本といいながら,ふつうに,小説として読んでも
ちょっと笑える作品に仕上がっている.
内容は,前著よりも薄い感じ.
しかしながら,人を楽しませる,思いやりの重要性をひしひしと
感じられる内容になっている.
できる限り,実践してみよう.

以下,amazon の紹介文.

昔から自分に自信の持てなかった僕は「悩み」や「劣等感」に関する本をたくさん読んできました。しかしこれらの本にはいつも不満がありました。それは、悩 みに関する本のタイトルが『これであなたもポジティブになれる!』みたいなものばかりだからです。「こんなタイトルの本が家の本棚にあったら、家に遊びに きた人に僕がネガティブ人間だと思われてしまう……」とか「この本をレジに持っていったらあの可愛らしい店員さんは確実に僕のことをネガティブな人間だと 思うだろう……」などと悩み始め、そもそも悩みを解決するために本屋に来たのにここで悩んでる俺って何? という、まさに悩みのデフレスパイラルに陥ってしまうのでした。そこで、いつの日か、持っていても読んでいても恥ずかしくない、「悩み」や「不幸」を癒す ことのできる本を書きたいと思っていました。その試みの結晶が「雨の日も、晴れ男」です。幼い神様のイタズラによって、アレックスは不運だらけの一日を送 ることになります。会社をクビになり、見知らぬ男に殴られ、詐欺にあい、妻子に愛想をつかされて一人ぼっちになってしまいます。しかしアレックスは持ち前 のポジティブさでこれらの不運に立ち向かいます。もしかしたらこの本の序盤ではアレックスの奇想天外な行動を理解できないかもしれません。しかし最後には 「悩み」や「不幸」にどう立ち向かっていけばいいのかをアレックスははっきりと示してくれます。この本は、できれば途中であきらめずに最後まで読んでいた だけるとうれしいです。

Wednesday, August 20, 2008

切羽へ

以下の本を読んだ.

切羽へ [単行本]
井上 荒野 (著)
  • 単行本: 204ページ
  • 出版社: 新潮社 (2008/05)
  • ISBN-10: 4104731021
  • ISBN-13: 978-4104731022
  • 発売日: 2008/05
  • 商品の寸法: 19.6 x 13.8 x 2.6 cm
夫以外の男に惹かれることはないと思っていた。
彼が島にやってくるまでは……。

静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、
ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、
どうしようもなく惹かれてゆくセイ。
やがて二 人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。
「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。
宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった
美 しい切なさに満ちた恋愛小説。...とのこと.

第139回 直木賞受賞作につき,読んでみた.
3月から始まり,翌年の4月までが章ごとに記されている.
画家の夫と田舎の島で暮らしているセイが主人公.
夫とは仲良く,何不自由なく,幸せに生活している.
そこに,転勤してきた新任教師が登場する.
物理的な接触は,ほとんどないにも関わらず,どうしようもなく
惹かれていく.
このあたりの描写が,官能的といわれるゆえんだろう.
これとは逆に,友人の月江は,「本土さん」と派手に物理的な
接触を行っている.
このあたりの,対比も面白いところ.
心に秘め事を持ちながらも,円満な夫婦生活が維持されており,
ハッピーエンドな物語である.

Monday, August 04, 2008

時が滲む朝

以下の本を読んだ.

時が滲む朝 [単行本]
楊 逸 (著)
  • 単行本: 150ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2008/07)
  • ISBN-10: 4163273603
  • ISBN-13: 978-4163273600
  • 発売日: 2008/07
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 2 cm
梁浩遠と謝志強。
2人の中国人大学生の成長を通して、現代中国と日本を描ききった力作。
『ワンちゃん』に次ぐ期待の新鋭の第2作!

1988年夏、中国の名門大学に進学した2人の学生、梁浩遠(りょう・こうえん)と
謝志強(しゃ・しきょう)。様々な地方から入学した学生たちと出会うなかで、
2人は「愛国」「民主化」「アメリカ」などについて考え、天安門広場に行き着く――。
大学のキャンパスで浩遠と志強が出会った「我愛中国」とは。
同窓の友人たちとの議論や学生生活を通して、現代中国の実像を丹念に描きつつ、
中国人の心情が リアルに伝わってくる力作です。物語の後半では日本も登場し、
国境を越えるダイナミックな展開から目が離せません。
衝撃の前作『ワンちゃん』から半年、ス ケールアップした新鋭の最新作です。
...とのこと.

日本語を母語としない外国人著者による,初の芥川賞受賞作につき
読んでみた.
前作でもそうであったとおり,今作もかなり荒削りな内容となっている.
やはり,芥川賞と呼ぶには,...あまりにも未熟であると考えられる.
# 差別をするわけではないが,芥川賞を日本語の母語としない人に与えるのは
# 無理があるような気がする.
学生運動に参加し,日本に来た学生がメインの話となっているが,
このあたりの事情は,ふつうのドキュメンタリーとかを読んだほうがもっと
きちんと理解できるだろう.
小説として読むには,内容がつまらない.
# 表現も稚拙だし.
芥川賞を外国人がとったことにより,話題を集めているが,逆に,
外国人でなければ,受賞し得なかった作品といえると思う.
# 次回作は読まないだろう...

Sunday, August 03, 2008

頭痛のタネは新入社員

以下の本を読んだ.

頭痛のタネは新入社員 (新潮新書 264) [新書]
前川 孝雄 (著)

  • 新書: 188ページ
  • 出版社: 新潮社 (2008/05)
  • ISBN-10: 4106102641
  • ISBN-13: 978-4106102646
  • 発売日: 2008/05
  • 商品の寸法: 17 x 11 x 1.2 cm
ネットと携帯を駆使してシューカツ戦線を勝ち抜き、第一志望の
会社に入った----のに、突如機能停止してしまう新入社員たち。
彼らはどういう"生き物" なのか? その生態と行動原理を徹底分析。
「送信しっぱなしコミュニケーション」、「大人免疫力の低下」、
「プラネタリウム型視点」......。
全国か ら聞こえる悲鳴と衝突の実例を挙げながら、それでも一緒に
働いていくために上司が仕掛けるべき12の技を伝授する。
...とのこと.

いまどきの大学生の実態も分かりそうなので,読んでみた.
# シューカツの相談にも乗れそうだし.
確かに,大学生の実態を見る限り,記述されているような理解不能な
新入社員がいることは,なんら不思議ではない.
バブルが崩壊し,IT革命が進み,ゆとり教育の中で育ってきた
学生が社会に出て行くわけなので,仕方がない.
私も,学生のときには,よく非常識といわれたものだが,その私から
見ても,今の学生には,非常識なのが多い.
# 昔の自分を棚に上げているだけか?

「シューカツ」と「就職活動」の違い,というのは参考になった.
なるほど,名前が異なるとおり,昔の就職活動とは違うものだと
とらえれば,少しは合点がいく.
# 会社に入れば,違いはないはずだが.
それにしても,就職氷河期に就職した私から見れば,いまの学生の
就職状況は恵まれているとしかいいようがない.
にも関わらず,すぐに辞めてしまう人も多いらしい.
辞める分には,本人の自由なので,自己責任で勝手に辞めてもらってよい.
しかしながら,日本経済に与える影響を考えると,やはり,どうにか
策を講じる必要があるのだろう.
やはり,学生時代,大学においても,基本的な指導が必要なのだろうか.